2016年4月12日火曜日

親心

 
 「あなたがたのだれが、パンを欲しがる自分の子供に、石を与えるだろうか。魚を欲しがるのに、蛇を与えるだろうか」(マタイ7の9)

 父と私と妹二人の父子家庭で過ごした時がありました。当時、私は小学5年生。父は、仕事に出ますと1週間から2週間は帰ってきません。その間、私が炊事、洗濯、掃除、買い物などをします。学校が自宅から徒歩2分の近い所にありましたので幸いでした。父が帰ってくるとうれしくてたまりません。父は1日~2日の休みを私たちと共に過ごします。父の休日はいつもお決まりのコースを辿ります。私たちを連れてまず一杯飲み屋に行きます。父が酒を飲んでいる間、私たちはおつまみの豆をぽりぽりほおばるのです。その次はパチンコ屋。父が楽しんでいる間、私は落ちている玉を捜し、それでキャラメルを獲得したりします。妹たちは父のそばで辛抱して待っています。父の興趣が冷めると、今度は場末の映画館で三本立ての洋画を見るのです。
子供たちにとって決して良い環境とは言えませんでしたが、私たちは父が共にいてくれるだけで充分満足だったのです。父は前科者でしたし、母から見れば悪い夫だったと思います。しかし、どういうわけか、私たちにはとても優しい父でした。
人も動物も、親の愛で次世代の命をつないでいると言えるでしょう。近頃、家族の絆がおかしくなっていますが、本来はそうではありません。神は親の立場を持つ者の心に愛を埋め込まれたのです。

私どものことを一番心配してくださる天の父が共にいますことを覚えて日常を過ごすとき、信頼と安らぎの大気の中で呼吸することが出来ます。

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